マレーシアの教育制度
マレーシアでの親子留学、母子留学への関心が増加する中で、マレーシアの教育制度についてご存じの方はどのくらいいるでしょうか?実は、マレーシアには教育の選択肢が日本よりもたくさんあることはご存じでしたか?

日本では、義務教育は小学校6年間と中学校3年間の計9年間で構成されていて、すべての子どもがこの義務教育を受けることが求められています。義務教育終了後、ほとんどの生徒が高校に進学しますが、高校進学は義務ではなく、選択制です。進学先としては4年制大学や短期大学、専門学校などがあり、生徒は自分の進路に合わせて選択します。大学進学を目指す生徒は、高校での学びを通じて大学受験の準備を行います。
しかし、マレーシアでは、義務教育は小学校6年間(Primary School)です。ただし、日本のように法律で定められた義務教育というわけではなく、家庭の事情によって変更可能です。小学校を終了した後、5年間の Secondary School(中高相当)があり、その後、統一試験(SPM: Sijil Pelajaran Malaysia)を受験します。SPMの結果に基づいて、大学予備校や専門学校、さらには直結する大学に進むことができます。マレーシアの大学は国内のものが多くありますが、提携している海外大学への進学も一般的です。進学先としては、世界的に認知されている海外の大学や専門学校を目指す生徒も多いです。

このように、日本とマレーシアの教育制度には違いがあり、マレーシアにはより自由で多くの選択肢があると考えてもいいでしょう。それぞれの国の違いを理解したうえで、マレーシアの教育制度についてより詳しく見ていきましょう。
インター校について
現在、マレーシアには170校以上のインターナショナルスクールがあります。実は、マレーシアにあるインター校は公立学校とはまた違ったカリキュラムを使っており、インター校とひとまとめで言ってもそれぞれの学校で異なった教育方法を実施しています。それぞれの学校に提供するカリキュラムの種類や学位において独自の特徴があります。そのため、どのインター校に進学するかは大切な選択になるます。インター校が使っているカリキュラムには大きく5つに分かれていて、イギリス式、アメリカ式、オーストラリア式、カナダ式、そして国際バカロレアがあります。インター校を選ぶ際は、それぞれのカリキュラムの特徴を知ったうえで選ぶことが大切です。特にイギリス式カリキュラムは、マレーシアのインターナショナルスクールで最も人気のあるカリキュラムです。しかし、いくつかの学校では、アメリカ式カリキュラムから始まり、大学前の段階では国際バカロレア(IB)を提供するなど、複数のカリキュラムや学位を提供することも一般的です。マレーシアで提供されるインターナショナルカリキュラムは多岐に渡り、10種類以上のカリキュラムと試験が存在しています。

インター校の選び方
インターナショナルスクールを選ぶ際のポイント
インターナショナルスクールを選ぶことは、お子さんの将来に大きな影響を与える大切な選択です。以下のポイントを押さえて、最適な学校を見つけましょう。
カリキュラムの種類、特徴を理解する インターナショナルスクールはさまざまなカリキュラムを提供しています。イギリス式、アメリカ式、オーストラリア式、カナダ式、国際バカロレア(IB)など、カリキュラムの内容や進学における特徴を理解し、お子さんの学びたい内容や将来の進学先に合ったカリキュラムを選ぶことが重要です。
学校の進学実績をチェックする 各学校がどのような大学への進学実績を持っているかを確認しましょう。特に海外大学への進学を考えている場合、学校がどの国の大学への進学支援をしているかも確認すると良いです。
学費やその他の費用を確認する 学費は学校によって異なるため、予算に合った学校を選ぶことが大切です。学費だけでなく、教材費や施設利用料、課外活動費用など、その他の費用も含めて考慮する必要があります。
学校の施設や学習環境を調べる 学校の施設や学習環境はお子さんが学ぶ上で重要な要素です。キャンパスの広さや設備、学習サポート体制(個別指導、進学カウンセリングなど)を調べ、実際に学校を訪れて、雰囲気を確認することをお勧めします。
学校の文化や雰囲気を体験する 学校の文化や教師、学生の雰囲気は、学びやすさや成長のしやすさに大きな影響を与えます。学校のイベントやオープンデーに参加したり、学校訪問をして実際の環境を体験することで、雰囲気を理解できます。
進学支援体制を確認する 大学進学を目指す場合、学校が提供する進学サポート体制(進路指導や大学入試対策)が重要です。特に、海外大学への進学をサポートするためのカウンセリングや情報提供が充実している学校を選びましょう。
お子さんの学習スタイルに合った教育方法を選ぶ 各カリキュラムには学習方法に特徴があります。例えば、アメリカ式カリキュラムは柔軟性があり、プロジェクトやディスカッションが多い一方で、イギリス式は試験が多く、学問的に厳格な面があります。お子さんの学習スタイルに合った学校を選びましょう。
インターナショナルスクール選びは、単に学業だけでなく、お子さんの将来の進路や学習環境にも影響を与えるため、十分にリサーチし、慎重に選ぶことが大切です。自分の家庭のニーズに最適な学校を選ぶために、しっかりと情報を集めて比較することが成功の鍵です。
カリキュラム
1. アメリカ式
柔軟性と多様性を重視し、学生一人ひとりの個性や学習スタイルに合わせた教育を提供しています。学生の年齢や学年ごとに段階的に進んでいき、具体的には、幼稚園(Kindergarten)から5年生(Grade 5)までのエレメンタリースクール(小学校)、6年生から8年生までのミドルスクール(中学校)、そして9年生から12年生までのハイスクール(高校)の3つのステージに分かれています。アメリカ式カリキュラムは、学生に自由度の高い学びを提供し、個々の学生のペースに合わせて学習することができるため、特に異文化理解や個性の発展を重視する家庭に適しています。

2. イギリス式
最終的にはIGCSEと呼ばれる試験を経て、A Levelを受け、大学進学を目指します。

3. オーストラリア式
オーストラリア式カリキュラムは、幼児教育から高校卒業までの体系的な教育プログラムで、学問的な知識だけでなく、実践的なスキルや価値観を総合的に育むことを目的としています。特に、国際的に通用する教育内容と柔軟性のあるシステムが特徴です。8つの分野(英語、数学、科学、健康・体育、人文学・社会科学、芸術、技術、言語)を通じて、幅広い知識とスキルを学び、試験(50%)と課題(50%)が成績に反映される継続的な評価が行われます。学年ごとの進捗をしっかり確認できるシステムです。
グローバルな視点を重視し、多文化社会に対応。オーストラリア国内への学位の移動もしやすい設計です。

4. カナダ式
カナダカリキュラムは、学生が自分の潜在能力を最大限に発揮できるように設計された、包括的で年齢に適したプログラムです。初等教育と呼ばれる幼稚園から高等教育まであり、学生が知識、技能、価値観を身につけ、地域社会および世界で責任感を持った積極的な人間として成長することを目指しています。初等教育では、基本的な社会性、コミュニケーションスキル、そして学習への興味を育てることに重点が置かれます。小学校(Grade 1~8)では、学問的な基盤が築かれ、主要5科目を中心に学びます。技術教育や芸術も重要視されており、学生は幅広い分野に触れることができます。 高校(Grade 9~12)では、進学や将来のキャリアに向けてより専門的な教育を受けます。オンタリオ州の高等学校卒業資格(OSSD)を取得することができ、大学進学のための基盤が整います。

5. 国際バカロレア
スイスで始まった国際的な教育プログラムで、世界中の多くの学校で採用されています。学問だけでなく、国際的な視野や全人教育を重視しています。学生の年齢や発達段階に応じた学習を提供するPYP(初等教育プログラム)、MYP(中等教育プログラム)、DP(ディプロマプログラム)、CP(キャリア関連プログラム)の合計4つのプログラムから成り立っています。
PYP – 3歳から12歳の子どもを対象に、探究型学習を通じて創造力や批判的思考力を養います。生徒は6つのテーマに基づいて学び、知識を深めるとともに、主体的に学ぶ力を育てます。次に、
MYP – 11歳から16歳の生徒を対象に、言語、数学、科学、芸術など8つの学習分野を統合的に学びます。このプログラムでは、現実世界の問題に取り組むことを重視しており、個人プロジェクトを通じて生徒の探究心や創造力を発揮させます。
DP – 16歳から19歳の生徒を対象に、大学進学準備を目的としたプログラムです。生徒は6科目を選択し、知識論(TOK)、課題論文(EE)、創造・活動・奉仕(CAS)という3つの中核要素を通じて、批判的思考力や社会性を高めることが求められます。大学進学を目指す生徒にとって非常に価値のあるプログラムであり、学問と実社会とのバランスを取ることができます。
CP – 職業教育に重点を置いたプログラムで、16歳から19歳の生徒が対象で、DPとは異なり、実務的なスキルを学びながら、IBの学問的要素を組み合わせた学習が行われます。生徒は自分のキャリア目標に合わせて、専門分野の学習を深めることができます。
多文化理解を深め、異なる価値観を尊重しながら学べることは、国際的な視野を持つ人材としての成長を促します。また、探究心を育むことに重点を置き、学生が自分で問題を発見し、解決策を見つける力を身につけられるように設計されています。大学進学を目指す生徒だけでなく、職業教育を重視する生徒にも柔軟に対応できる教育体系であり、生徒一人ひとりの未来に向けた支援を行います。

提供カリキュラム
提供コース | 学校名 |
イギリス式 | ガーデンインターナショナル、 |
アメリカ式 | インターナショナルスクール・オブ・クアラルンプール、 モントキアラインターナショナル |
カナダ式 | サンウェイインターナショナル |
オーストラリア式 | ペニンシュラインターナショナル |
国際バカロレア | イートンハウスマレーシア、 |
二つ以上のコースを提供している学校もあります。二つ以上のロケーションに学校がある場合は、それぞれのロケーションによって提供しているカリキュラムが異なる場合もあります。詳しく知りたい方はそれぞれの学校のページでご確認ください。
学校の名前をクリックするとそのページが表示されます。